2014年2月19日(水)
ももいろクローバーZ
EX THEATER ROPPONGI「ももいろ夜ばなし第二夜『玄冬』」
セットリスト
1,空のカーテン (5人)
2,太陽とえくぼ (百田)
3,涙目のアリス (玉井)
4,Hello, Again 〜昔からある場所〜 / My Little Lover (高城)
5,宙船 / TOKIO (百田)
6,もしもピアノが弾けたなら / 西田敏行 (有安)
7,卒業 / 尾崎豊 (玉井)
8,DNA狂詩曲 (5人)
9,たしかなこと / 小田和正 (5人+辛島美登里)
10,サイレント・イヴ / 辛島美登里 (佐々木+辛島美登里)
11,ピンキージョーンズ (5人)
12,CONTRADICTION (5人)
13,ゲッダーン! (5人)
14,Rock’n Rouge / 松田聖子 (佐々木)
15,星空のディスタンス / THE ALFEE (高城、百田、玉井)
16,永遠のトリニティー / てんかすトリオ (有安)
17,ノーサイド / 松任谷由実 (5人)
18,Z女戦争 (5人)
アンコール
19,宙飛ぶ!お座敷列車 (5人+辛島美登里)
20,オレンジノート (5人)
21,いつか君が (5人)
22,灰とダイヤモンド (5人)
※ 曲タイトルのあとに「/」が付いているのはカバー曲で、「/」の後に続くのが、その原曲を歌っている方です。
※ かっこの中は、その曲を歌ったメンバーです。「5人」と記載してるのは、ももクロ5人で。
ももいろ夜ばなし第二夜のLVに行ってきました! 夜ばなしは2回目ですが、イベントとしてこなれてきて、また5人の歌唱力も上がってきて、前回よりもまとまりのあるいいライヴだったと思います。
午後7:00、ほぼ定刻通りの開演。客電が消えると、「カチッ、カチッ、カチッ、カチッ…」という時計の針の音と、「ゴーーン…」という時計の鐘の音。時計が鳴り終わると、久米明さんの朗読が始まる。「大きなノッポの古時計。おじいさんの時計…」、あの曲の歌詞だ! 「今はもう動かない、その時計さ。」というところで、大きな古時計の歌詞の朗読は終わり。風の音のような効果音が流れ始めて、今度は空のカーテンの歌詞の一部の朗読。久米さんの声が会場に染み入るように響く。朗読が終わると、ピアノの伴奏から1曲目の「空のカーテン」がスタート。れにちゃんの声が優しい。もともとゆったりしたテンポの曲だし、アコースティックバージョンがとても自然でした。
空のカーテンが終わると、今度はしおりんが「太陽とえくぼ」の歌詞の一部を朗読。2曲目はもちろん夏菜子の「太陽とえくぼ」。ピアノの伴奏を中心にウッドベースとパーカッションが絡んで、途中からストリングスも入ってきました。なんだかおしゃれなカフェで流れてきそうな雰囲気。続いて、しおりんの「涙目のアリス」。ストリングスを中心にしたアレンジで、しおりんの声が優しく聞こえました。去年の春の西武ドームあたりから、しおりん喉の調子が良くなさそうだけど大丈夫かな。今日も調子が悪いわけではないけど、少し苦しそうなところがあったので。
「涙目のアリス」が終わると、今度は杏果の朗読。朗読を聞いているときは気づかなかったけど、4曲目はMy Little Loverのカバー。5曲目の宙船の前にもあーりんの朗読が入ってから、歌が始まりました。夏菜子の声が力強くて、表情がドヤ顔っぽくてちょっと笑っちゃいそうになっちゃうところとか、この曲に合ってたと思います。6曲目は「もしもピアノが弾けたなら」。この曲では杏果が西田敏行さんというか、池中玄太?のコスプレで出てきて、客席から笑いがおきました。7曲目の「卒業」の前には、れにちゃんが熱っぽく卒業の歌詞を朗読…というより語り、叫ぶ感じ。メンバーそれぞれの語り、朗読もみんなのキャラクターが出ていました。「卒業」はしおりんが、白いTシャツをジーンズにインという、尾崎豊風の格好で歌いました。
8曲目の「DNA狂詩曲」のあとには、久米さんもステージに登場して、まとまったMCがありました。覚えている限りの会話の内容です。(実際よりかなり端折ってます。)
佐「GOUNNツアーでもお世話になった久米さんの語りから始まりました夜ばなし、でもみんなもね、語りなんかやっちゃったりして…」
玉「語っちゃいましたね。」
高「でも、久米さんといえば数々のドラマや映画のナレーションを担当してきた大御所でしょ! そんな人の前で語りやっちゃったんだよ! どうよ!?」
百「どうよ…って言いますと…わかんないですけど。高城さんがどうよって私に聞いてもしょうがないんですよ。いきなり言えないんで、ご本人に直接お伺いしてみましょうということで、久米さんを呼んじゃいましょう!せーの!」
ももクロ「久米さーーーん!」
久米さんステージ上に登場。
高「私たちの語りどうでしたか?」
久米「もう少しかっこつけてやるのかなと思ったら、実に自然でね。僕ら朗読を勉強するときに、目はその文字を見るんだけど、その次の、その2、3行あとを、心では追っていろという教えがあるんだけど、皆さんそれが如実に出てね、自然で良かったよ。素晴らしかった!」
百「久米さんにはGOUNNツアーでも本当にお世話になりまして、久米さんの語りから始まり、久米さんの語りで終わるというツアーをやらせて頂いたんですけど、あれを私たちが久米さんにお願いしたときの心境ってどんな感じだったんですか?」
久米「あの時は初めてのお話でね、まさかぁ、と思ったね。僕が出ていいのかなぁなんて思ったんですけど、その内容を聞いて、特にGOUNNの語りの内容を教えられて、あぁこれはやってみたいな、やるしかないなぁ、やりたいなぁとしみじみ思って、ぜひ参加しますって僕の方からお願いしたんだよ。」
玉「ほんとに私たちも久米さんの声がすっと心の中に入ってきて、言われたことも凄い覚えてますもん。」
高「なんかある?」
玉「私はあれかな、目と目で通じ合おう。見つめ合おうってところ。」
玉・佐「目は心の鏡だ!」
高「あとあれも好き。手を差し伸べたら必ず誰かが手を差し伸べてくれる。それは運命の巡り合わせだっていうの。」
百「私は…えっと…えっとなんだっけかな、正しい教えを知らないで100年生きるよりも、正しい教えを知って1日生きた方がいいみたいな…」
久米「よく覚えてるねぇ、みんな。」
高「久米さん、全然関係ないこと質問していいですか?」
久米「どうぞ。」
高「久米さんは今おいくつなんですか?」
久米「この2月でね、90になりました。」
ももクロ「えぇえーーーーーっ!!?」
客席からも拍手と歓声!
高「90で、現役でやられてるって…」
久米「現役っていうかねぇ、残りの人生一生懸命やろうと思ってがんばってます!」
百「最後にひとつ聞いてもいいですか? 久米さんにとって語りとは?」
久米「語りねぇ。この年になっても難しいんだよ。どうしても語りっていうのは人の文章を読むでしょ、それを作者の気持ちまで全部自分のなかでわかって読むためには準備がいるよね。」
ここから久米さん、文章を読む時の心構えと、人前で読むときのプレッシャーとの向き合い方を、ももクロに力説されました。ももクロも真剣に聞き入っていて、この話もきっと彼女たちの未来に、とてもプラスになるんだろうなと思います。久米さん、どんな方か存じ上げなかったけど、優しくて、仕事にたいして誠実で、偉ぶるでも媚びるでもなくももクロと正面から向き合って言葉をかけていて、こんな素敵な90才がいるのかと思いました。ファンになりそう。
次のコーナーは「辛島美登里のニューミュージック講座」。辛島美登里さんが先生役になり、小田和正さんの「たしかなこと」の歌詞を紐解きながら、ももクロと一緒に歌おうというもの。辛島さんいわく小田さんの歌には恋の歌も愛の歌もあるので、メンバーがひとりずつ、それぞれが考える「恋」と「愛」の違いを言っていくことに。
百「恋はするもの。愛は………するもの(笑)」
高「恋はどこかで自分優先になるときがあること。愛は自分を犠牲にしてでも守りたいもの。」
玉「恋はキュンとするもの。愛はホッとするもの。」
有「恋はドキドキするもの。愛は自然と生まれるもの?」
佐「恋はちょっとわかんないけど、愛は分かる気がする。私が夏菜子ちゃんのこと大っっ好きなのは愛じゃん? 恋は私と相手だけど、愛はここみんなで愛があると思う。」
夏菜子が答えに困ってしまったのも含めて、みんなその場でひねり出した感じだったけど、5人のキャラクターが見えて面白い。しおりんはすっとキレイに言葉に収めるし、あーりんは本質的なこと言いますね。このあとは小田和正さんの「たしかなこと」の歌詞の意味、イメージを辛島さんがももクロに語ってから、歌へ。
「たしかなこと」を歌ったあとに、杏果から辛島さんに「作詞するときって、舞い降りてくるんですか? 書こうと思って書くんですか?」という質問。辛島さんの答えは、仕事で締め切りがあるときにワーって書くときもあるし、普通の生活のなかでできることもあるとのこと。そこから「サイレント・イヴ」ができた時の話。
「サイレント・イヴは実は渋谷でできた歌なの。私がまだ音楽の仕事ができるとは思ってなくて、曲を書いても書いても失敗して、音楽なんか私に向いてないのかなと思う時期があって、そんなときに友達と冬に渋谷のハチ公前で待ち合わせをして、友達を待ってたの。あそこ大きなスクランブル交差点があるでしょ? 雪がふわーって落ちてきて、信号が変わったら、むこうからいろんな人が出てきて、それを見てた時に、雪っていうのはみんな平等に降ってくるんだなぁと思って。幸せもきっと平等に降ってくるから、私もがんばろうって思ったのがきっかけです。だから曲の出だしの「真っ白な」って歌うたびに、スクランブル交差点が思い浮かぶの。」この流れから、あーりんと辛島さんでサイレント・イヴ。
11曲目から13曲目までは、ピンキージョーンズ→CONTRADICTION→ゲッダーン!と、アコースティックっぽくない曲を連続で。ピンキージョーンズでは、あーりんが「どうにもこうにもあきらめそれはノ〜ン」の部分でろれつが回らなくて歌えない一幕もありました。あーりん、舌をちょっと出してごめんなさいって顔してた。CONTRADICTIONとゲッダーン!も、意外にもアコースティックなアレンジがマッチしてましたね。
13曲目のゲッダーン!のあとには、バンドメンバーの紹介。杏果がピアノの人の名前を滑舌が悪くてうまく言えなくて、何度も言わされてました。ギター兼バンドマスターの佐藤大剛(さとうひろたか)さんは、ももクロがバンドを導入したライブは皆勤賞だそうで、ももクロからどの曲が演奏していて一番難しかったかという質問。佐藤さんの答えは「Z女戦争」でした。佐藤さんいわく「この編成でやる曲じゃない」。
14曲目は、あーりんが松田聖子さん風の衣装で「Rock’n Rouge」(ロックン・ルージュ)。衣装も曲もなんの違和感もなく似合ってました。こういうのを見ると、松田聖子さんも今でも現役だし、ももクロも40才、50才になっても続けられるんじゃないかと思います。例えば50才になったあーりんが、現在のももクロの衣装を着てステージに立ち続けてるのって、わりと自然にイメージできるし、このグループにはそんな未来を想像してしまう。
15曲目はALFEEに扮したれにちゃん、夏菜子、しおりんの3人で「星空のディスタンス」。れにちゃんが桜井さん、夏菜子が坂崎さん、しおりんが高見沢さん。3人ともコスプレのクオリティーが高くて、客席から笑いが起こってました。16曲目には杏果がひとりで「永遠のトリニティー」。1月の「俺の藤井」で、エビ中のひなた、しゃちほこのちゆとの3人で結成されてユニット「てんかすトリオ」で披露された曲です。もともと歌唱力の高い3人で歌っていた曲を杏果ひとりで歌うので、部分的にかなりつらそうでした。でも、さすがに杏果で、ひとりでもクオリティー高く聞かせてくれました。
「永遠のトリニティー」のあとのMC。去年、今年とユーミンの苗場のコンサートに行ったという話から、ユーミンのカバーで「ノーサイド」。この曲、ユーミンが現在の国立競技場でおこなわれた最後のラグビー早明戦で歌ったということで、3月の国立でも歌う、あるいはユーミンがゲストで来るっていうフラグかな、なんてうがった見方をしてしまいました。18曲目には、先ほどバンマスの佐藤さんがアコースティック編成でやるには一番難しいと評していた「Z女戦争」で本編終了。
アンコール1曲目では、辛島美登里さんが再びステージに登場。ナレーションを久米明さんが担当して「宙飛ぶ!お座敷列車」。ナレーションは今日の会場に合わせて「六本木上空を通過」など、ところどころ変更になっていました。アンコール2曲目の「オレンジノート」では、会場にいる皆さんと一緒に歌いたいと、ももクロ5人がマイクを置き、歌い始めました。「かなえられるよう 動き出そう」のあとから、バンドが演奏を止め、アカペラで歌唱。ここらへんが今日のライブで一番盛り上がったかも。アンコールは「いつか君が」「灰とダイヤモンド」と続きました。「灰とダイヤモンド」のあとには、オープニングと同じように久米さんの「大きな古時計」の歌詞の朗読。「今はもう動かない その時計…」と語り終わると1回だけ「ゴーーン」と時計の音が鳴り、ライブ終了となりました。
演出も含めて、コンセプトアルバムのようなよくまとまったライブだったと思います。個人的には1回目の夜ばなしよりも、今回の方がストーリー性があり、見せ方もよくまとまった良いライブだと感じました。なにより、ももクロの5人が楽しそうだし、久米さんとの話など、5人のプラスになることが多かったんじゃないかと。久米さんの話に真剣に、素直な顔で聞き入るももクロを見てると、この子たちも久米さんを見習って90才まで頑張ろうって考えてんじゃないかと思って、なんだか嬉しくなりました。