miwa「ミラクル」歌詞考察 ×××××に入る言葉と意味は?


目次
イントロダクション
設定確認
「私」と「あなた」の関係性
×××××部分に入る言葉
「ミラクル」の意味
結論・まとめ

イントロダクション

 「ミラクル」は、2013年4月24日にリリースされた、miwaの11枚目のシングル。2013年5月22日にリリースされた3rdアルバム『Delight』にも、収録されています。

 作詞はmiwa。作曲はmiwaとNaoki-T。

 タイトルの「ミラクル」とは、奇跡を意味する英語の「miracle」。

 漢字の「奇跡」ではなくて、カタカナの「ミラクル」。その表記が示唆するように、歌詞もメロディーも、軽やかな疾走感を持った楽曲です。

 「ミラクル」と言うからには、歌詞には奇跡的な出来事が扱われるはず。結論から言ってしまうと、キラキラした恋心を歌った曲です。

 結論だけを聞くと、なんだかあっけないと感じられるかもしれません。でも、実際には「ミラクル」と呼ぶにふさわしい、キラキラした感情が詰め込まれた歌詞になっています。

 また、歌詞には「×××××」と伏せられた部分があります。もちろん、ここには「F××k」のような汚い言葉が入るわけではなく、作者の意図によって伏せられています。

 では、なぜこの部分を伏せ字にしたのか。そもそも、ここに入る言葉はなにか。

 タイトルの「ミラクル」とも重なってきますので、上記の伏せ字の意味と、ミラクルが具体的になにを指すのか意識しながら、この曲の歌詞を読み解いてみたいと思います。

設定確認

 先ほど、この曲は「キラキラした恋心を歌った曲」だと書きました。それだけだと、あまりにも情報が少なすぎるので、まずは歌詞の設定を確認していきましょう。

 まず、登場人物は語り手である「私」と、「あなた」の2人。設定された季節は夏です。

 「私」が「あなた」に抱く恋愛感情が、夏らしいイメージを散りばめながら、疾走感を伴って描写されます。

 語りの時制は、過去形でも現在形でもなく、常に現在進行形と言いたくなるぐらい、「私」の溢れ出る感情が綴られていきます。
 

「私」と「あなた」の関係性

 歌詞の大枠が確認できたところで、実際の歌詞を確認していきましょう。まずはAメロの歌詞を、以下に引用します。

日射しが照りつける空の下 笑顔ひとつこぼれる
夏の恋に飛び込んで
ユラユラ揺れる心の波間に 流れ着いた あなたがいた
熱くなるこの気持ち
手のひらから伝わる熱 私だけじゃないよね

 上記引用部では「私」が「あなた」に恋する過程が語られています。注目すべきは、具体的なエピソードではなく、あくまで「私」の心情にフォーカスしているところ。

 1行目の「笑顔ひとつこぼれる」は、主語が書かれてはいませんが、「私」のことでしょう。歌い出しは、「私」の心がときめく瞬間から始まっています。

 2行目の「夏の恋」で、季節設定が夏であることを明らかにし、さらに「心の波間」と、夏の海を連想させる表現を用いています。

 5行目の「手のひらから伝わる熱」は、どういう意味でしょうか。「私」と「あなた」が手を繋いでいるとも取れますが、前後の文脈を考えると、おそらく違います。

 この表現は「私」のテンションが上がり、あるいは緊張のため、手のひらがじんわり熱くなっているということでしょう。その後に続く「私だけじゃないよね」は、「あなた」も私と同じように、恋のテンションが上がっていてほしい、ということ。

 上記の引用部からは、「私」の恋心が盛り上がっていること、「私」と「あなた」はまだ恋愛関係ではない、ということが分かります。

×××××部分に入る言葉

 Aメロに続くサビの歌詞を、以下に引用します。

キラキラあなたがまぶしくて いつから恋が始まったの
私 裸足のまま 駆け抜けてゆく
まばたきしたら過ぎる瞬間 忘れないでね
いちご味のかき氷 溶ける頃に切ない想い
あなたとなら ×××××

 上記引用部では、「私」の心情がより詳細に語られています。まず1行目では、「あなた」のことをいつから好きになったのかを回想。Aメロの内容を、振り返っているとも言えます。

 2行目の「裸足のまま」というのは、夏だから海で裸足になる事と、感情の赴くままに行動することを、かけているのでしょう。

 4行目は何を意味するのでしょうか。「私」は「あなた」と一緒に、かき氷を食べているのでしょう。いや、一緒にはいますが、食べているのは「私」だけかもしれません。

 「溶ける頃に切ない想い」というのは、「あなた」に気持ちを伝えようと思うものの言い出せず、時間が経過していく様子を、表しているのだと思います。

 つまり、かき氷を食べながら、想いを伝えるタイミングをうかがっているが、切り出すことができず、時間だけが過ぎている、ということです。

 そして5行目の「あなたとなら」に続く、「×××××」。この部分に入る言葉と、その意味を検討します。

 歌詞を注意して聞いてみると、当該部分は「I’ll work a miracle」と歌っているようです。「work a miracle」は「奇跡を起こす」という意味。

 「I’ll work a miracle」は、「私は奇跡を起こす」と、自分の意思を表明しているということです。

「ミラクル」の意味

 タイトルにもなっている「miracle」(ミラクル)という言葉が、ここで出てきました。では、曲の中で「ミラクル」とは、具体的に何を意味するのでしょうか。

 「×××××」部分に「I’ll work a miracle」を代入すると、先ほどの引用部5行目は「あなたとなら I’ll work a miracle」となります。

 意訳すると、「あなたと一緒なら奇跡を起こせる」ということでしょう。ここまでの歌詞の内容を考慮すると、2人の恋の成就を意味するのだと想定できます。

 「私」にとって「あなた」が大きな存在であり、心が抑えきれないほど高鳴っていることを表すため、「ミラクル」という言葉を使ったのではないでしょうか。

 2番のAメロの歌詞でも、「私」の胸の高鳴りが、引き続き綴られています。以下に引用します。

閉じこもっていた心 解き放てば見えてくる世界
こんなにもきらめいて モヤモヤしてたって始まらない
思い出にはまだ早いよ 迷わずに飛び出して
どこへだって行けるはずでしょ 太陽沈まないで

 引用部1行目と2行目では、恋をしたことで、心の持ちようまで変わったことが記述されています。

 3行目の「思い出にはまだ早い」とは、「あなた」との恋を諦めてしまうのは、まだ早いという意味でしょう。「思い出」という言葉で、「あなた」との出来事が過去になる事を表しています。

 4行目は「私」が自分自身を、奮い立たせている言葉でしょう。「太陽沈まないで」というのは、いろいろと解釈可能な表現です。

 文字通りの意味は、太陽が沈まないで、そのまま昼間であってほしいということ。ただ、太陽を夏の象徴として、夏が終わらないでほしいとも取れますし、「あなた」との関係が切れないでほしいとも解釈できます。

 いずれにしても上記引用部は、「私」の恋に対するテンションが、いきいきと閉じこめられています。

 さらに2番のサビでも、「私」の高鳴る感情が綴られていきます。以下に引用します。

今すぐあなたに会いたくて いつでも恋は少し苦しい
短い夏がほら 加速させるの
二度と戻れないこの瞬間 つかまえててね
夜空に打上げ花火 消える前にお願い早く
あなたとなら ×××××

 引用部1行目に「恋は少し苦しい」という一節が出てきました。想いが強くなればなるほど、失ったときのダメージも大きくなる。楽しいだけではない恋の本質が、端的に表現されています。

 叶わなかった時のショックも大きいが、成就した時の喜びも大きい。それほどまでに膨らんでしまった恋心を表すため、「ミラクル」という、いささか大げさとも取れる言葉を使ったのだと思います。

 上記引用部では、1番のかき氷に代わり、「打上げ花火」が出てきます。「かき氷」は時間の経過を表していましたが、上記の「打上げ花火」は、感情の高鳴りと刹那感を表しているのでしょう。

結論・まとめ

 以上、「ミラクル」の歌詞を、曲の中で「ミラクル」は何を意味するのか、という視点に基づいて読み解いてきました。

 この曲では、恋がもたらす感情の大きさを表すため、恋の成就を「ミラクル」という言葉に置き換えています。

 該当部分の歌詞が「×××××」と伏せ字になっているのは、言葉に出せないほどの感情を、強調するためではないかと思います。

 「私」の感情の高鳴りに、焦点が当てられたこの曲。そのため、恋が成就したかどうかは、最後まで明らかにされません。

 「かき氷」や「裸足」など、夏を連想させる単語を散りばめ、夏の開放感と暑さを、心の高鳴りと連動させているところも秀逸。

 歌詞にも出てくるとおり「キラキラ」とした感情が伝わる楽曲です。

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