けやき坂46「誰よりも高く跳べ!」歌詞の意味考察 誰よりも高くどこへ跳ぶ?


目次
イントロダクション
語りの構造
語り手はどこへ跳ぶ?
語り手VS大人
結論・まとめ

イントロダクション

 「誰よりも高く跳べ!」は女性アイドルグループ、けやき坂46の楽曲。作詞は秋元康。

 2018年6月20日リリースの1stアルバム『走り出す瞬間』、2016年11月30日リリースの欅坂46の3rdシングル『二人セゾン』Type-Bなどに収録されています。

 「誰よりも高く跳べ!」という命令形のタイトル。タイトルのとおりと言うべきなのか、疾走感の溢れる楽曲です。

 じゃあ、具体的にどこに向かって跳ぶ曲なのか? 結論から言うと、具体的にどこに跳ぶかという意味ではなく、自分を変えること、限界を超えることを歌った曲です。

 言い換えれば、物理的にジャンプすることを歌うのではなく、あくまで跳躍はシンボリックな意味で、自分を変えよう!というメッセージを伝える曲。

 具体的なストーリーや人物描写よりも、メッセージ性を重視した抽象的な歌詞とも言えます。前述したとおり、メロディーとリズムからは疾走感が溢れていますが、それと比例して歌詞にも推進力が溢れています。

 今回は、この曲における跳躍が意味することに注目しながら、歌詞を読み解いてみたいと思います。

語りの構造

 最初に語りの構造を確認しましょう。「構造」なんて書くと難しそうですけど、語り手がだれとか、登場人物の人数だとか、そういう基本的な情報です。

 まず、この曲には「私」や「僕」といった一人称の代名詞が出てきません。語り手が誰なのかハッキリしないのですが、とにかく語り手によって、聴き手をアジテートする言葉が発せられていきます。

 語り手に対する人物描写も、ほとんどなされません。しかし、Aメロの歌詞に「大人たちに教えられて来たのは妥協さ」と出てくるので、語り手自身は大人ではなく、10代ぐらいの若者ということでしょう。

 登場人物と呼べるのは、この語り手のみ。語り手が、ひたすら心情を記述していきます。

 次に時制の確認。これは、過去をふり返って語っているのか、あるいは現在の出来事を語っているのか、という視点のこと。

 例えばラブソングならば、昔を思い出して語っていたり、現在の相手に対する心情を歌っていたりと、様々な視点の曲があります。

 では、この曲はどうでしょうか。すべてが現在進行形とも言うべき勢いで、言葉がはじき出されていきます。

 まとめると、登場人物は語り手のみ。時制は現在形で、ひたすら語り手の心情がスピード感をともなって、記述されます。

語り手はどこへ跳ぶ?

 では、実際の歌詞を検討していきましょう。まず、歌い出しのサビの歌詞を、以下に引用します。

誰よりも高く跳べ!
助走をつけて大地を蹴れ!
すべてを断ち切り
あの柵を越えろ!
自由の翼を
すぐに手に入れるんだ
気持ちからTake off
One Two ThreeでTake off
ここじゃない
ここじゃない
ここじゃない
どこかへ

 「高く跳べ!」「大地を蹴れ!」「柵を越えろ!」と、命令形の言葉が続きます。先述したとおり、いずれも具体的にどこに跳べとは言っていません。

 5行目から「自由の翼を すぐに手に入れるんだ」という一節が、この曲のメッセージを端的にあらわしているのでしょう。

 なぜなら、命令形の連続のあとに、それらをまとめるように「自由の翼」以降の言葉が続くため。言い換えれば、具体的な指示をなさない命令形を、説明するために綴られた言葉ということです。

 さらに、引用部後半の「ここじゃない どこかへ」は、命令形の曖昧性と、自分を変えよう!というメッセージ性を、くりかえし強調しています。

 7行目の「Take off」は、離陸する、出発する等の意味を持ちます。接地しているものが、そこを離れるイメージです。

 この表現も、とにかく現状を打破すべき、というメッセージを補強していると言えるでしょう。

 タイトルにもなっており、歌い出しの歌詞でもある「誰よりも高く跳べ!」。では、どこへ向かって跳ぶのかといえば、具体的な方向を示すわけではなく、今すぐ行動を起こすことを、シンボリックにあらわしているのです。

語り手VS大人

 前述したとおり、語り手は若者だと想定されます。なぜなら、歌詞に大人に反抗する一節が出てくるため。

 当該部分が出てくる、1番のAメロの歌詞を、以下に引用します。

自分で勝手に限界を決めていたよ
世界とは常識の内側にあるって…
無理してみても何もいいことない
大人たちに教えられて来たのは妥協さ

 4行目の内容から、語り手は「大人たち」ではない存在であると想定されます。あるいは語り手も、現在は大人の年齢に達しているのかもしれませんが、いずれにしても大人に反抗する存在であることは確かです。

 では「大人」とは、なにを象徴しているのか。引用部2行目の「常識」をあらわしていると考えられます。

 1行目に「自分で勝手に限界を決めていた」とありますが、この理由は「無理してみても何もいいことない」と、大人に教えられてきたから。

 大人とは常識を代表しており、この曲は常識および限界を超えて、自分を変えろと訴えています。そして、それを象徴しているのが「誰よりも高く跳べ!」という言葉。

 上記引用部と同じように、語り手と大人の対立をあらわす表現が、もうひとつ出てきます。2番のサビ後に挿入される、Cメロの歌詞を以下に引用します。

金網の外
眺めてるだけじゃ
何にも変わらない
どこ向いても立ち入り禁止だらけさ
レジスタンス
守られた
未来なんて
生きられない

 5行目の「レジスタンス」。言うまでもなく、抵抗や反抗を意味する言葉です。

 上記引用部にはそれ以外にも、「金網」と「立ち入り禁止」というルールを連想させる言葉が使われています。先ほどの引用部でいえば「限界」「常識」「大人たち」に対応する、自分を縛りつける力ということでしょう。

 引用した部分のほかにも「困難や障害」「錆びたルール」「重い鎖」といった言葉が散りばめられ、この曲が自分を変えること、特に常識や固定観念など、自分を縛りつけるルールを脱しよう、と訴えていることがわかります。

結論・まとめ

 「誰よりも高く跳べ!」という言葉は、実際にジャンプすることではなく、自分を変えることを、シンボリックにあらわしていると最初に書きました。

 では、具体的に「自分を変えること」とは何か? 歌詞には、ルールや常識を意味する言葉が散りばめられているため、自分の固定観念を捨て、あらたな挑戦をすることだと考えられます。

 まとめると、常識や固定観念にとらわれず自分を変えろ!というメッセージを「誰よりも高く跳べ!」という一節で、シンボリックに描きだした曲。

 けやき坂46の曲ですけど、「レジスタンス」なんて言葉も使われていて、漢字の方の欅坂46を彷彿とさせる曲だとも思います。

 この曲、調性も長調だか短調だか判断しにくいのですが、メッセージ・ソングとしても、背中を押される応援ソングだったり、ちょっと暗い曲だったりと、聴き手によって印象の変わる曲なのではないかと思います。

 個人的には、古き良きロックが扱うテーマが、うまくアイドルのフォーマットに落とし込まれていて、聴いていてなかなかテンションが上がります!

 最後に音楽面のこともひとつだけ書かせてもらうと、「すべてを断ち切り」の部分の譜割りがいいですね。

 「すべ」「てを」「たち」「きり」って、歯切れよく2文字ずつ歌っていくところが、他の部分の流れるようなメロディーの中で、際立っています。

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